【初心者向け】料理動画「調理の過程」と「完成品」で使い分ける!簡単照明・アングル術
料理動画をご覧になる方が「これなら作れそう!」「美味しそう、食べてみたい!」と感じていただくには、ただレシピ通りに作るだけでなく、映像全体の質がとても大切になります。特に「照明」と「アングル」は、料理の見た目の美味しさを大きく左右する要素です。
料理動画は、多くの場合「材料準備」から始まり、「調理過程」、そして「完成」という流れで構成されます。実は、このそれぞれの段階で見せたいもの、強調したいポイントは異なり、それに合わせて照明やアングルを使い分けることが、動画全体の魅力を高めるカギとなります。
この記事では、高価な機材を使わず、身近なものや最低限の機材でできる簡単なテクニックを中心に、特に動画の肝となる「調理の過程」と「完成品」それぞれの撮影で意識すべき照明とアングルについて解説します。この記事を読んで実践すれば、あなたの料理動画がもっと美味しそうに、そしてプロっぽく見えるようになるはずです。
なぜ調理中と完成品で撮り方を変える必要があるのか?
料理動画を視聴する方は、調理過程では「どうやって作るのか」「手際やコツ」を見たいと考え、完成品では「どんな料理ができたのか」「どんな見た目なのか」を見たいと考えます。
- 調理過程: ここでは、食材を切る手元、混ぜる動作、鍋の中で火が通っていく様子など、「動き」や「変化」、「手元の作業」が中心となります。臨場感や、作業の丁寧さ・楽しさを伝えることが重要です。
- 完成品: ここでは、料理全体の「見た目」、「色合い」、「ツヤ」、「盛り付け」といった、完成した料理の美しさが中心となります。食欲をそそるシズル感や、写真集のような「美味しそう」感を伝えることが重要です。
このように、見せたいものが違うため、それぞれに最適な光の当て方やカメラの角度が異なってくるのです。
【実践編】調理中の美味しさを伝える照明とアングル
調理中の撮影では、主に手元と食材の変化に焦点を当てます。
照明:手元と過程を明るく、影をコントロール
調理中は、手元が暗くて何をしているか見えなかったり、自分の影が邪魔になったりすることがよくあります。
- 手元を明るく: 撮影場所の真上ではなく、斜め前方や側面から光を当てるのが基本です。こうすることで、手元が明るく照らされ、作業内容が分かりやすくなります。自然光を使う場合は、窓に対して作業台を横向きに配置すると良いでしょう。
- 邪魔な影を防ぐ: 真上からの光は、手や調理器具の影が大きく出てしまいがちです。斜めからの光を利用することで、影を抑えることができます。
- シズル感を出す光: 湯気や油の跳ね返り、炒め物のツヤなどを際立たせたい場合は、被写体のやや後方(逆光やサイドバック光)から光を当てるのが効果的です。ただし、光が強すぎると白飛びしてしまうため、光を和らげる工夫が必要です。白い布やトレーシングペーパーなどを光源と料理の間に挟むと、柔らかい光になります。これは100円ショップなどでも手に入るもので代用できます。
アングル:作業内容が見やすい角度を
調理過程では、視聴者が「どうやって作るのか」を理解できるよう、作業内容が明確に見えるアングルを選びましょう。
- 俯瞰(ふかん)アングル: 真上、またはやや斜め上からのアングルは、手元全体の作業や、鍋の中の様子を捉えるのに適しています。材料を混ぜる、具材を炒める、盛り付ける直前など、広い範囲を見せたい場合に有効です。スマートフォンを固定するアームや三脚があると、安定した俯瞰撮影が可能です。
- 斜めからのアングル: 包丁で食材を切る、泡立て器で混ぜるなど、特定の手元の動きを見せたい場合に適しています。作業している人の目線に近い角度や、少し見下ろすような角度が良いでしょう。カメラ(スマートフォン)を作業している手元から近すぎず、離れすぎず、適切な距離に置くことが大切です。
- 動きを捉える: 揚げ物をする際の衣のつき方、ソースにとろみがつく瞬間など、「変化」や「動き」を見せるアングルを意識しましょう。必要に応じて、カメラを少しだけ近づけたり引いたりする簡単なカメラワークも効果的です。
【実践編】完成品の美味しさを伝える照明とアングル
完成品の撮影では、料理の見た目の美しさ、色合い、ツヤ、立体感を最大限に引き出します。
照明:色とツヤを鮮やかに、立体感を出す
完成した料理は「作品」です。美味しそうに見える光を carefully 選んで当てましょう。
- 料理全体を美しく照らす: 調理中と同様、真上からの光は避け、斜め横や斜め後ろからの光がおすすめです。特に、窓からの自然光は料理の色を美しく見せてくれます。窓がない場所で撮る場合は、LED照明などを使い、光の色(色温度)を料理の色が自然に見えるように調整できるものを選ぶと良いでしょう(多くの場合、太陽光に近い白色光が良いとされています)。
- ツヤ・テリを出す: 煮物やソース、焼き魚の皮など、ツヤを出したい部分がある場合は、光沢面に対して反射するように光を当てると、キラキラとしたツヤが出やすくなります。サイド光(真横からの光)やサイドバック光(斜め後ろからの光)が効果的です。
- 立体感を出す: 全方向から均等に光を当てると、料理がのっぺりして見えがちです。一部に影ができるような光の当て方(サイド光など)をすることで、料理の形や凹凸が際立ち、立体感が生まれます。強すぎる影は美味しさを損なうこともあるので、反対側に白い紙やレフ板(白い発泡スチロールなどで代用可)を置いて、影を少し和らげる「レフ板効果」を利用するのもおすすめです。
アングル:料理が一番美しく見える角度を探す
完成品の撮影では、料理が最も魅力的に見える「ベストアングル」を見つけることが重要です。
- 定番の斜め前方アングル: 人が実際にテーブルに座って料理を見る時の目線に近い、斜め前方(45度くらいの角度)からのアングルは、料理全体の形や盛り付けの立体感を伝えるのに最適です。多くの料理がこの角度で美味しそうに見えます。
- 高さを活かすアングル: ハンバーガーやミルフィーユのように高さがある料理は、真横に近い角度から撮ることで、その高さを強調し、ボリューム感を伝えることができます。
- テーブルレベルのアングル: 丼ものやカレーなど、器全体と料理の量が重要になる場合は、テーブルと同じくらいの低い位置から撮るアングルも効果的です。迫力が出ます。
- 被写界深度(ボケ感)の活用: スマートフォンによっては、「ポートレートモード」などで背景をぼかす機能があります。背景を適度にぼかすことで、料理そのものに視聴者の視線を集め、主役として際立たせることができます。これは難しい操作ではなく、スマートフォンの設定で簡単にできる場合が多いので試してみてください。
両方の撮影に共通するポイント
- 光の質: 硬い光(太陽光が直接当たるなど)は強い影を作りやすく、柔らかい光(曇りの日、レースのカーテン越しなど)は影を和らげ、全体をふんわりと明るく見せます。料理の種類や見せたい雰囲気によって使い分けましょう。一般的には、柔らかい光の方が失敗しにくく、美味しそうに見えやすい傾向があります。
- 背景の整理: どんなに料理が美味しそうでも、背景にごちゃごちゃしたものが映っていると気が散ってしまいます。シンプルな布を敷いたり、壁を背景に使ったりするなど、背景はすっきりとさせることを心がけましょう。
まとめ
料理動画の撮影では、「調理の過程」で見せるべきポイントと「完成品」で見せるべきポイントが異なります。それぞれに最適な照明の当て方やアングルを意識することで、あなたの料理動画のクオリティは格段に向上します。
特別な機材は必要ありません。窓からの自然光や、家にある白い布、白い紙などを工夫して使ってみてください。色々な角度や光の当て方を試しながら、あなたの料理が最も美味しそうに見える瞬間、最も伝わるアングルを見つけていくことが大切です。
ぜひ、今日からこのテクニックを試して、視聴者の食欲をそそる、魅力的な料理動画を作成してください。