【初心者向け】並べても同時調理でも!複数料理を美味しく見せる簡単照明とアングル術
複数の料理を一度に!動画で美味しさを伝えるための基本
料理動画を作成する際、一つの料理だけでなく、複数の料理を食卓に並べたり、複数の調理工程を同時進行で見せたりする機会があるかと思います。このような場合、それぞれの料理の美味しさを効果的に伝えるためには、照明とアングル選びが非常に重要になります。
この記事では、複数の料理や工程を一度に、または連続して動画で撮影する際に役立つ、初心者向けの簡単で実践的な照明とアングルテクニックをご紹介します。高価な機材は必要ありません。手軽にできる工夫で、視聴者の食欲をそそる美味しそうな動画を目指しましょう。
なぜ複数料理の撮影が難しいのか?
一つの料理を美しく撮るだけでも工夫が必要ですが、複数の料理を扱う場合はさらに難易度が上がります。その理由はいくつかあります。
- 焦点が分散しやすい: どれか一つの料理にしかピントが合っていなかったり、全体のバランスが悪くなったりすることがあります。
- 照明の調整が複雑: 複数の被写体があると、特定の料理には適切でも、他の料理には影ができすぎたり、明るすぎたりすることが起こり得ます。
- 奥行きや広がりを表現する必要がある: 食卓の賑わいや調理の段取りを伝えるには、平面的な映像では不十分です。
- それぞれの料理の個性を引き出す必要がある: 同じ照明やアングルでは、それぞれの料理が持つ色や質感が十分に伝わらない可能性があります。
これらの課題を解決するために、照明とアングルの工夫が必要なのです。
複数料理を美味しく見せる照明テクニック
複数の料理を撮影する場合、全体の明るさを適切に保ちつつ、それぞれの料理の魅力を引き出すことが目標です。
1. 全体を柔らかく照らす基本
まず、全体を均一に近い状態で、かつ柔らかい光で照らすことを目指しましょう。硬い光(点光源からの直接的な強い光)は、複数の被写体に強い影を作りやすく、見栄えを損なうことがあります。
- 自然光の活用: 窓からの自然光は、柔らかく拡散されるため、複数料理の撮影に非常に適しています。食卓全体や作業台全体に光が当たるように、窓際にテーブルを配置するなどの工夫をしてみましょう。
- 光を拡散させる: 自然光や照明器具の光が強すぎる場合は、白いレースのカーテンやトレーシングペーパー、ディフューザーと呼ばれる布などを光源と料理の間に挟んで、光を柔らかく拡散させてください。身近な白い布でも十分効果があります。
2. メインの料理に焦点を当てる簡単な方法
複数の料理がある中で、特に見せたいメインの料理がある場合は、そこに少しだけ光を足すことで、視線を引きつけることができます。
- 簡単な補助光: スマートフォン用の小さなLEDライトや、クリップライトなど、手軽な補助光を用意します。これをメインの料理の斜め上などから、少し弱めの光で当ててみましょう。全体を照らす光よりも少しだけ強い光にすることで、メインの料理が際立ちます。
- レフ板や白いもので光を起こす: メインの料理の影になっている側に、白い厚紙や発泡スチロール、アルミホイルをくしゃくしゃにして広げたもの(柔らかい反射が得られます)を置いてみてください。光が反射して影が和らぎ、料理の色や質感がより鮮明になります。
3. 影をコントロールする
複数の被写体があると影ができやすくなります。影が料理全体を暗くしてしまったり、不自然に見えたりする場合は、前述のレフ板などで影を起こすか、全体の照明を柔らかくすることを優先しましょう。ただし、立体感を出すためには、適度な影も必要です。全ての影をなくすのではなく、美味しそうに見えるような影のつき方を目指します。
複数料理を美味しく見せるアングルテクニック
複数の料理がある場合の動画アングルは、全体の雰囲気と個々の料理の魅力の両方を伝えるバランスが重要です。
1. 全体を見せる俯瞰アングル
食卓に並んだ複数の料理や、複数の鍋を同時に扱う調理シーンなど、全体の状況を伝えたい場合は、真上からの俯瞰(ふかん)アングルや、やや斜め上からのハイアングルが適しています。
- 俯瞰アングル: 料理の配置や彩りを一度に見せたい場合に効果的です。テーブル全体をフレームに収めるか、一部を切り取るかで印象が変わります。真上すぎると奥行きがなくなりがちなので、少し斜めにすると立体感が出やすくなります。
- ハイアングル: 視聴者が見ているような自然な視点に近く、調理の様子や食卓の雰囲気を伝えやすいです。高すぎると料理が小さく見えすぎるため、カメラ(スマートフォンなど)の高さは、テーブルから45度〜60度くらいの角度がおすすめです。
2. 個々の料理に寄るアングル
全体を見せた後や、特定の料理の美味しさを強調したい場合は、カメラを近づけて寄りのアングルで撮影しましょう。
- 正面または斜めからのアングル: 料理の盛り付けやボリューム感を伝えるのに適しています。パスタなら麺の絡み具合、ハンバーグなら肉汁など、見せたいポイントに合わせて角度を調整します。
- 断面や中身を見せるアングル: ケーキやオムライスなど、切った断面や中身に魅力がある料理の場合は、その部分にカメラをぐっと近づけて、フォーカスを合わせましょう。照明で断面を明るく照らす工夫も忘れずに。
3. 奥行きを活用したアングル
複数の料理を前後に配置することで、奥行きを表現し、動画に立体感と豊かな広がりを持たせることができます。
- 前後に配置: 手前に一つ、少し離れた奥にもう一つ料理を配置します。手前の料理にピントを合わせつつ、奥の料理を少しだけぼかす(被写界深度を浅くする)ことで、手前の料理が際立ち、かつ全体の雰囲気を伝えることができます。スマートフォンのポートレートモード機能などが、簡単な被写界深度の調整に役立ちます。
- 手前に調理器具や材料を置く: 調理中の動画であれば、手前に切った野菜や使っているフライパンの一部などを意図的に写し込むことで、奥行きと臨場感を出すことができます。
実践する上でのポイント
- 必ずテスト撮影をする: 本番の撮影に入る前に、照明やアングルを変えながら何度かテスト撮影をしてみましょう。スマートフォンの小さな画面だけでなく、PCなどで確認すると、影のつき方や色の見え方がより分かりやすいです。
- シンプルに始める: 最初から完璧を目指さず、まずは自然光とスマートフォン、白い布や紙など、身近なものだけで試してみてください。
- 視聴者の目線を意識する: 視聴者が「この料理を食べるなら、どんな風に見えるだろう?」という視点でアングルを考えてみると、より美味しさが伝わりやすくなります。
まとめ
複数の料理や工程が登場する料理動画では、全体と個々の料理の魅力をバランス良く伝える照明とアングルが重要です。自然光や簡単な補助光で全体の明るさを確保し、レフ板などで影をコントロールすることで、それぞれの料理の色や質感を際立たせることができます。また、俯瞰やハイアングルで全体を見せつつ、寄りのアングルで個々の料理の魅力を深く伝えることで、視聴者の食欲をより効果的に刺激する動画を作成できます。
これらのテクニックは、特別な機材がなくても、少しの工夫で実践可能です。ぜひ、あなたの料理動画で試してみて、複数の料理の美味しさを最大限に引き出してください。