【初心者向け】たった2つの光源で!料理動画に奥行きを出す簡単照明術
美味しそうな料理動画を作る上で、照明は非常に重要な要素です。光の当たり方一つで、料理の見た目は大きく変わります。色が鮮やかになったり、食材のツヤや質感が際立ったり、はたまた影ができて立体感が増したり。
しかし、「照明」と聞くと、専門的な機材が必要で難しそうだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。この記事では、高価な照明器具を使わず、窓からの自然光や、ご家庭にある身近な照明器具などを「たった2つ」組み合わせるだけで、料理動画に奥行きと立体感を生み出し、美味しさをさらに引き出す簡単なテクニックをご紹介します。
なぜ「2つの光」が料理動画に効果的なのか?
光が一つだけの状態で料理を撮影すると、どうしても全体が平面的に見えがちです。これは、光が均一に当たってしまうことで、料理の形や凹凸が分かりにくくなるためです。
そこで「2つの光」の登場です。光を異なる方向から当てることで、意図的に影を作り出し、料理に立体感や奥行きを与えることができます。また、光の強さや質を変えることで、より複雑で魅力的な光の表現が可能になります。
プロの現場では、「メインライト」「フィルライト」「バックライト」など複数の照明を使い分けますが、基本的な考え方は「主となる光」と「それを補う光」の組み合わせです。この「主となる光」と「それを補う光」の2つを用意するだけで、初心者の方でもぐっと表現豊かな映像を撮ることができるようになります。
身近なもので実現!「2つの光」の組み合わせ例
特別な機材は必要ありません。ご家庭にあるものや、手軽に手に入るものを活用しましょう。
組み合わせ例1:自然光(窓)+レフ板(白い板や布)
これが最も簡単でおすすめの組み合わせです。 * 一つ目の光(メイン光): 窓からの自然光。柔らかく、料理を自然に美味しく見せてくれます。 * 二つ目の光(補助光): 白いカッティングボード、白い布、白い厚紙、または市販の安価なレフ板など。これらを窓とは反対側に置くことで、窓からの光でできた影を優しく和らげることができます。
組み合わせ例2:自然光(窓)+デスクライトやクリップライト
自然光をメインに、部分的な明るさやアクセントを加える組み合わせです。 * 一つ目の光(メイン光): 窓からの自然光。 * 二つ目の光(補助光・アクセント光): デスクライトや、小型のクリップライト、LEDライトなど。これを窓とは別の角度(例えば、料理の斜め後ろなど)から当てて、影を調整したり、ツヤを強調したりします。
組み合わせ例3:室内照明(天井灯など)+デスクライトやクリップライト
夜間や曇りの日で自然光が得にくい場合に有効な組み合わせです。 * 一つ目の光(メイン光): 天井の照明や、料理の斜め上などに配置したデスクライト。 * 二つ目の光(補助光・アクセント光): もう一つのデスクライトやクリップライト。メイン光でできた影の反対側や、料理の輪郭を際立たせたい位置に置きます。室内照明だけだと全体が平坦に見えやすいので、補助光で立体感を出しましょう。
具体的な「2つの光」設定テクニック
実際にこれらの光源を使って、どのように料理動画を撮るか見ていきましょう。
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メイン光を配置する
- まず、料理に対して最も強く当たる光(メイン光)の位置を決めます。
- 料理動画の場合、料理の斜め後ろ(サイドバック光)や真横(サイド光)から当てるのがおすすめです。この位置から光を当てることで、料理の表面にツヤやハイライトが生まれやすく、よりシズル感が伝わります。
- 窓からの自然光を使う場合は、料理を窓際に置き、窓に対して料理のどの面を見せるか調整します。
- 照明器具を使う場合は、カメラの後ろではなく、料理の斜め横や斜め後ろに配置します。
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もう一つの光(補助光)を配置する
- メイン光の位置が決まったら、もう一つの光を配置します。この光の役割は主に2つあります。
- 影を和らげる(フィルライト効果): メイン光の反対側に、先ほどのレフ板や弱めの照明を置きます。メイン光でできた影がきつすぎる場合に、これを置くことで影が柔らかくなり、料理のディテールが見やすくなります。ただし、影を完全に消してしまうと立体感がなくなるので、影の濃さが少し薄まる程度にするのがコツです。白いレフ板を使う場合、置く位置や角度で反射する光の量が調整できます。
- 輪郭や質感を際立たせる(バックライト効果): 料理の真後ろや斜め後ろから、メイン光よりも弱めの光を当てます。特に湯気、ドリンクの透明感、揚げ物の衣の質感などを際立たせるのに効果的です。麺類などを撮る際、麺一本一本の輪郭が浮かび上がり、美味しそうに見えます。
- メイン光の位置が決まったら、もう一つの光を配置します。この光の役割は主に2つあります。
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カメラアングルとの組み合わせ
- 2つの光を配置したら、実際にスマホやカメラを構えて、最も料理が美味しそうに見えるアングルを探しましょう。
- 光によってできる影やハイライトの見え方は、カメラの位置や高さによって大きく変わります。
- 例えば、少し低い位置から撮ると、手前にできた影やハイライトが強調され、迫力のある立体感が出ることがあります。
- 斜め上からのアングルは、盛り付け全体や奥行きを見せやすいですが、光の当たり方によっては平坦に見えやすいので、補助光での調整が重要になります。
- 様々な角度から見て、料理の形や色、ツヤ、影が最も魅力的に見えるアングルを見つけましょう。
実践のポイントと注意点
- 光の強さのバランス: メイン光と補助光の強さには差をつけましょう。通常はメイン光が一番強く、補助光はそれより弱くします。補助光がメイン光より強いと、不自然な仕上がりになりやすいです。
- 光の質(硬い・柔らかい): 窓からの自然光や、白い布などで覆った照明は「柔らかい光」になり、影が優しくなります。剥き出しの電球のような光は「硬い光」になり、影がはっきり出ます。料理の種類や見せたい質感に合わせて使い分けるか、補助光に柔らかい光を使うのがおすすめです。
- 色温度に注意: 異なる種類の照明(白熱灯とLEDなど)を組み合わせると、光の色味が異なり、料理の色が不自然になることがあります。可能であれば同じ種類(例えばLEDライトを2つ)を使うか、撮影後に編集で調整することを検討しましょう。
- 映り込みを防ぐ: 照明器具や窓が、料理の表面や食器に映り込んでしまうことがあります。カメラの位置や照明の角度を調整して、不要な映り込みがないか確認しましょう。
まとめ
料理動画で美味しさを伝えるためには、光を意識することが非常に大切です。そして、プロのような立体感や奥行きを出すために、必ずしも高価な機材は必要ありません。
今回ご紹介したように、窓からの自然光、白い布、デスクライトなど、身近なものを「2つの光」として組み合わせるだけでも、料理の見え方は劇的に変わります。メインとなる光と、それを補う光。この基本的な考え方を理解し、少し工夫するだけで、あなたの料理動画はきっとワンランクアップするはずです。
ぜひ、ご自宅にあるものを使って、様々な角度から光を当てて試してみてください。光を味方につけて、視聴者の食欲をそそる素敵な料理動画を制作しましょう。